1. 導入:並べ替えるたびに順序が変わる謎
「以前のソート結果を維持したまま、別の項目で並べ替えたい」 例えば、名簿を「年齢順」にしたあと、さらに「性別」で分けたとき。同じ性別の中ではちゃんと年齢順になっていてほしいですよね。
しかし、Javaのソートの仕組みを正しく理解していないと、この「以前の順序」がバラバラに壊れてしまうことがあります。
2. 「安定ソート」とは?
一言でいうと、**「同じ値のものがあったとき、元の並び順を壊さない」**のが安定ソートです。
安定ソート: 元の順序を守る(誠実な並べ替え)
安定でないソート: 同じ値の時、順序が入れ替わることがある(効率重視)
3. 【実験】安定でないソートで「順序が壊れる」様子
数値(プリミティブ型)のソートは「安定ではない」ため、これを利用して**「見た目は同じ数値だけど、実は裏側に別の意味があるデータ」**をソートしてみると、順序が壊れる様子がわかります。
※本来プリミティブ型には「裏側の意味」を持たせられませんが、ここでは理解のために「同じ値を持つデータ」が入れ替わるリスクを擬似的に表現します。
【失敗するイメージのサンプル】
// オブジェクト(安定ソート)の場合
List<User> users = new ArrayList<>();
users.add(new User("Aさん", 20));
users.add(new User("Bさん", 20)); // A, Bの順
// 「年齢」でソートしても、AさんとBさんの順序(A→B)は必ず維持される。これが「安定」
Collections.sort(users, Comparator.comparing(User::getAge));
もし、これが「安定ではないソート」で行われると、**「さっきまでA→Bだったのに、ソートし直したらB→Aになった」**ということが平気で起こります。これが、名簿管理や履歴管理のシステムでは致命的なバグになります。
4. Javaの賢い使い分け(メソッドの違い)
Javaの Arrays.sort() は、引数に渡す型によって、裏側で使うアルゴリズム(安定か不安定か)を自動で切り替えています。
Arrays.sort(Object[] a): 【安定】対象:String、Integer、自作クラスなどのオブジェクト
理由:オブジェクトは複数の属性(名前と年齢など)を持つため、順序の維持が極めて重要だから。
Arrays.sort(int[] a): 【安定ではない】対象:int, double, char などのプリミティブ型
理由:単なる数字の「5」と「5」に個体差はない。それなら安定性を捨ててでも、速度とメモリ節約を優先したほうが合理的だから。
5. 納得ポイント:なぜ「不安定」が存在するのか
最初は「全部安定ソートにすればいいのに」と思っていました。でも、調べてみて納得しました。
安定を守るためには、元の順序を記憶しておくための「予備のメモリ」や「複雑な手順」が必要になります。 一方、安定を気にしない方法は、とにかく高速でメモリを食わないという強みがあります。
Javaは、**「意味を持つデータは丁寧に、ただの数値はスピード重視で」**という、エンジニアらしい合理的な設計をしていたのです。
6. まとめ:データの「重み」を意識する
今回の探求で、ソートはただ並べるだけの機能ではなく、データの重要度に応じた「設計思想」の塊なのだと気づきました。
「このデータは並び順に意味があるか?」を意識するだけで、Javaのメソッド選びにも自信が持てるようになります。
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